Hatena::Groupoval-plan

思考地図:OVALPLAN このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-06-24間掛かり物語その3

[][] 間掛かり物語その3 - 思考地図:OVALPLAN を含むブックマーク

「間取り」という誂えーつづき

 まずはこの間取り図をご覧ください。前回お見せしたものの元になった通称「小さな家」の間取り図です。ご存知の方も多いかと思いますが、設計者は近代建築の巨匠ル・コルビュジエ。彼がまだ若い頃愛するお母さんのために精を尽くして拵えました。悪しき意図を持ってその構成要素を並べ替えたものとの違いはどこにあるでしょうか。


f:id:OVALPLAN:20070625001319j:image



 使い勝手を感じ取れるように入口から辿っていきましょう。玄関ドアを開けると小さなホールがあり、右手はキッチン、左手はリビングにつながっています。リビングへ移ってみると、奥に来客用の寝室がありますがここは「やれやれ、ちょっと着替えるか」と右へ回り込んで一息つきます。奥まった所にある洗面でかんたんに手を洗ってから、その先の今で言うウォークインクロゼットに服をかたづけるか、あるいは汚れ物をユーティリティの洗濯機に放り込むかします。気づけばキッチンはすぐそこ。帰宅後の用事を済ませているうちに一周回っていたのです。

 住宅建築ではこのような体験を「回遊する」と言ってとても大切にします。そのためには住まう人の暮らしをしっかりと見据えた動線計画が欠かせません。年老いつつあるお母さんの日々の営みを、ル・コルビュジエは過不足なく汲み取り思いやってこの「小さな家」の間取りを拵え誂えました。

 ひるがえって悪しき再構成図のほうにはそのような思いやりはありません。玄関ドアから一本中廊下を設けて必要な部屋をその両側に配置しただけ。特に問題なく使えそうではありますが、住まうその人の姿は何も映し出さずのっぺりとしています。そしてそれはホームページがあってそこからどこへでも等価に行って戻れるWEBサイトの間取りに似ています。

 WEBサイトは個人住宅ではなく商店街だよ、という意見も一理あるでしょう。それでもそれらを日々見て回るユーザのアクチュアルな情報利用を思いやった、個々の導線を拵え誂えるインタフェイスデザインは可能ではないでしょうか。