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2010-04-0310年品質のユーザインタフェース−その2

[][][][][][]JR東海新幹線予約サイトのUI設計プロセス JR東海新幹線予約サイトのUI設計プロセス - 思考地図:OVALPLAN を含むブックマーク はてなブックマーク - JR東海新幹線予約サイトのUI設計プロセス - 思考地図:OVALPLAN

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JR東海新幹線予約サイトの思考地図(別コラム参照)をベースにした設計プロセスが右の図です。思考地図で構成される4つの象限にそって、中心から外に向かって4段階のステップが示されています。現実の設計プロセスは紆余曲折や後戻りは沢山ありますが、どこのUI設計現場でもおおむねこんな4つ程度のステップで設計されていると思います。


1.ニーズ調査:新幹線予約はそれまでは電話での予約が中心でしたが、その予約をインターネットでセルフでできると言うことは、ユーザにとっては大変有り難いことで、我々設計者自身新幹線のヘビーユーザでしたので様々な意見、要望が収集できました。ところがこうした意見というのは、どこまで収集すればよいのか際限が無く困ることが多くあります。が、思考地図をベースに収集すると、収集している領域感が俯瞰できるので、アバウトなところで次のステップの整理するステップへ進むことができます。


2.ニーズ分析:沢山の意見を分類整理するには、一般的にはポストイットカードに書いてKJ法で分類,と言った方法が行われます。ところがカードが数百とかになりますと,ダブりやモレが多く、また分類自体が個人の指向性が強くなる、といった懸念もあります。

そこで、思考地図の左右上下のフレーム,例えば認知と操作、個人と社会といった縦横2軸を配して、その軸を背景に先ほどのニーズのカードを配置していきますと、グループのコンセプトが生まれ、容易にグルーピングできていきます。


(概念モデルの解説なのに、設計プロセスの話し?と思われるでしょうが、概念モデルだけを解説すると、なんだそんな事か、と思われてしまうので、そんな事という概念モデルが、どのような背景として浮かび上がるのかをお伝えすることが大事かと思いますので、今しばらくのお付き合いを)


3.コンセプトの読み取り:4つの象限に分類したニーズをグループ内の共通する意味や機能、関係性を考察するとそのグループに内在している暗黙知が浮かび上がってきます。あるときは上下左右の軸との意味関係、左右又は上下の隣グループとの違いと共通性、斜め対角線のグループとの対比、そして4つの象限グループの意味の相対性、などから基本的なニーズのフレームというものが発見されていきます。発見と言う感覚と創造という感覚とが同時にやってくるときは、かなり独自性豊かなコンセプトです、、、と思っていても、人に話すと大変地味で、そんな事は前から分かっていたことだ、という反応しか得られないことが有りますが、実は個性的なコンセプトは拒否される場合が多く、むしろ、こんな考えは誰でもするよな〜と思うけどまだどこにもない!と言うコンセプトの場合は、普遍性の高いコンセプトの発見と言えるときが多いと思います。少なくとも私の多くの経験ではそうでしたし、少なくともニーズの調査から出発してコンセプトを求めるときには、収集したニーズの中にコンセプトが暗黙知的に埋まっているのですから、それほどユニークな考えがそこで生み出されるという確率は低いでしょう。勿論競合が多く存在する分野のコンセプト開発では、最初からユニークなニーズ発掘が先に命題となりますから、その限りではありませんが。例えばシーズオリエンテッドなコンセプトメイキングの場合などです。(別の機会にシーズオリエンテッドコンセプト開発の説明もしたいと思います)


4.コンセプトのUI化:え?!コンセプトをUI化する?実はUI概念モデルというとすぐにデザインされた図像なり操作なりを想起される方が多いかも知れませんが、UI概念モデルというのは、デザインする以前に想起されるコンセプトモデルのことと具体的なUIデザインモデルの二つのことを指します。禅問答のように思われるかも知れませんが、両方ともコンセプトという表現では同じですが、テキストによって表現できるコンセプトと、図像を伴うコンセプトは異なります。(う〜ん・・・テキストと図像の両面=世界イメージを一気に示すスマートで美しいコンセプトというものもあるので一概には言えません、が、これもまた別の機会にお話しさせて下さい)

例えばこのJR東海新幹線予約サイトのコンセプトに「誰にも優しいステップバイステップ」というのがありますが、ステップバイステップというコンセプトは、予約の仕方を順序立てて始めから終わりまでをナビゲーションするステップが良いです、ということで、それに対してUI化は、縦に上から下へ進行するタブ型のナビゲーションUIデザインにした、ということです。ですので、ステップバイステップというコンセプトに対してUI化を検討する際に、もっと違ったナビゲーションも考えられると言うことです。例えば、ナビゲーション型のUIは、ECサイトの決済プロセスなどにあるような左右にボタンを並べるナビゲーションが一般的です。

では何故に縦型のタブにしたのか。そこがコンセプトをUIデザインに落とし込むところの重要なノウハウで、次回にその詳細を書いてみたいと思います。


こうして生まれたニーズコンセプトはユーザインタフェースデザインのコンセプトを導き、具体的なユーザインタフェースデザインが設計されました。

そして誕生したユーザインタフェースは、インターネット世界では類例のない10年の長寿サイトとなりました。

この結果から、この新幹線予約サイトのユーザインタフェースは「普遍的概念モデル」の設計だった、といえると思います。