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2011-02-06ICTの歴史とUIコンセプトの歴史(その5)

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ユーザインタフェースの始まりがXeroxのパロアルト研究所で開発されたワークステーションStarに搭載されたのが始まりであったことは、システム開発に関係する人なら誰もが知るところでしょう。ただStarは数年間しか販売されなかったのと、日本語搭載機(J-Star)が有ったとは言え実際にそのStarを操作したことがある人は、発表された当時でも数少なかったと思います。リコーではJ-Starを購入し技術的な調査が行われ、尾上さんはその時に実際にユーザインタフェースを操作し驚嘆したと言っておられました。


当時私はリコーの電子ファイルやワープロの企画とユーザインタフェース開発に参加する機会があったのですが、J-Starを見たことも振れたこともなかったので、尾上さんから話はきいてもMacintoshと同じだろう、程度にしか思っていませんでした。結局その後もJ-Starワークステーション(上谷編著-丸善株式会社)を読んだだけで、実物に出会う機会もなく現在に至っているのですが、当時の尾上さんの話を聞けば聞くほどせっかくリコーさんと仕事をしてたのだから見学をお願いすればよかったと後悔しています。


そんな訳で、具体的なGUIを多くの人が初体験したのは84年に発表されたAppleのMacintoshが始まりでした。私が始めてMacintoshに出会ったのは、当時私が所属していた京都デザインセンター(後のGK京都)のグループ企業であるGKテックでした。GKテックはコンピュータ技術を活用したシステム設計を受託をしていて、そこの岩政氏が米国からのお土産にMacintoshを持って帰ってきたとかで、彼の机の上にちょこんと置かれていました。岩政氏がにこにこしながら説明してくれて、おそるおそるマウスを触ったのを覚えています。本体と画面が一体になった縦長の箱に白い画面のクールな出で立ちで、簡単に持ち運べるように上部に(後から手が入るくぼみの)取っ手が付いていたのには驚きでした。四角や丸の図形をアイコンを選んでマウスを動かすだけでドローイングでき、まるで魔法の定規を使ってドローイングしているかのような感動を覚えたものです。そのスタイリッシュな出で立ちと画面上でのグラフィカルな操作作法は、当時のコンピュータ概念を完全に覆していて、専門家からはおもちゃ扱いされたのも納得できるほどの革新的デザインでした。要はいわゆるコンピュータではなかったのです。少なくともMacintoshと同じ1984年に発表されたIBMのPC/AT互換機がパソコンの主流となっていく、いわゆるコンピュータの流れとは一線を画したものだったのです。


何事も世界初というのはインパクトのあるものですが、得てして革新的なものほど時期尚早で消えていくものが多いものです。しかし、Starからは若干のアレンジがなされたものの基本的なユーザインタフェースを成立させるビットマップマトリックスのモニターとWindowとFolder、Icon、Cursor、そのCursorを操作するためのマウスとキーボードで構成されたグラフィカルユーザインタフェースがMacintoshに受け継がれ、世界中に熱狂的ファンを獲得していったことは、コンピュータとユーザインタフェースの歴史にとっては幸運そのものだったと思います。


ただここで注意していただきたいのですが、StarからMacintoshへと受け継がれたGUIがやがてWindowsへと引き継がれていった、と一般的には捉えられていますが、それは前出のコンピュータvsOA機器のコンピュータ側から捉えた歴史俯瞰であって、Starによって生み出されたGUIの歴史俯瞰は異なります。というのも(尾上さんのコメントにも書かれているように)Starで実現されたGUIは、OA機器すなわちオフィスツールとしてコンピュータ技術を取り込んだ結果生まれたもので、コンピュータを進化させようとして生まれたものではない、ということです。


コンピュータの進化形としてのGUIとオフィスツールとしてのGUI、どちらもGUIとしては同じと思われるでしょうが、コンピュータの進化形としてのWindows搭載PCとMacintoshとの違いは大きな違いがありました。一言で言うとアプライアンス性の有無です。GUIを語るとき、このアプライアンスの有無をヌキに語られることが多いのですが、それはものづくりにおけるコンセプトを無視した表面的な捉え方であって、樹を見て森を見ずなのであります。次回はそのアプライアンス性とはどんな事かについて見ていきたいと思います。