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2015-09-02

「まねるとまなぶについて」その1[小林] 「まねるとまなぶについて」その1[小林] - 思考地図:OVALPLAN を含むブックマーク はてなブックマーク - 「まねるとまなぶについて」その1[小林] - 思考地図:OVALPLAN

オリンピックエンブレムが類似疑惑のせいで白紙撤回されましたが、デザイナーのモラルが低いとデザイナーだけのせいにしてはいけない!

といってデザイナーのクセしてデザイナーの擁護をしては、擁護にならないし、逆効果だと叱られそうですが、ここは敢えて40年以上もデザインの現場を歩いてきた者として、「真似ることと学ぶことの狭間について」をデザイン現場からの告白としてコメントしておきたい、と思います。


添付の写真をご覧いただきたい。アウディとトヨタクラウンのフロントグリル、ボルボとホンダフィットのテールランプ。

この程度のニアミスが、日常茶飯事のようにデザイン界では見ることができるが、実は今に始まったことではない。私がデザインの実践の場で働き始めた頃、自動車ではStyleAutoという輸入雑誌があって、イタリアのカロツェリアでデザインされた先進的スタイリングが紹介されていて、日本のデザイナーはそれをベンチマークにしていました。ですから、これはあのパクリだな〜と思えるスタイリングは、まれなことではありませんでした。


告白しておきますと、私は当時某大手オーディオメーカーのデザインを担当していましたが、私はヨーロッパのオーディオデザインに感化されていましたので、結果的にディーテールでは一種の技法として真似ることがよくありました。ダイアルの配置やノブのデザイン、何より間が大事なデザインのツボでしたが、真似にはならないようにと思っていてもオリジナルに惚れてますから、どうしても似てしまいます。くそ〜もっとオリジナリティのあるスタイリングを・・・と何枚も何枚もスケッチを描くのですが、そんな簡単にオリジナルイメージが生み出せることは、ありませんでした。結局どこか惚れているモノに似ているスケッチが、やっぱり優れているように思える、、、この感覚は、(当時はまだ日本は)デザイン後進国で、西欧デザイン先進国を手本として学んでいた体験者にしかわからない感覚だと思います。

だからそんな葛藤の中で出てきたデザインなので、結果として似ていたときには同情を・・・そんな甘く切ないゴールを迎えたときもありました。


がしかし、そんな甘い考えを払拭するムチを与えてくれたのは、以前もこのFBで書きました私のボスでした。「どう?良いのできた?」とプレゼンの前日の夜遅くに祇園の御茶屋からほろ酔い気分で帰ってきたボスが、我々デザイナーが何日も苦労して描いてきたスケッチを見渡して、「ふ〜ん・・・なんか見たことあるのばっかりだね!」と言って「明日よろしく〜〜」と帰って行かれたのです。

しばし我らデザイナーは沈黙の時間が流れ、やおら上司が「小林くん、最後の一滴。ここにないのを一枚ずつ描こう!」と、翌朝新幹線の始発に間に合う時間までの数時間を、ここに無い全く新しいデザインを・・・


ものまねを超えることの難しさと、ものまねを超えることの潔さを我々は学んで来ましたが、悲しいかなものまねに対する潔い決別の方法は、伝授されてこなかったのかもしれない、と思う次第です。(・・・つづく)

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